不動産担保ローン用語集です、実際のお取引やお考えの際に活用ください。※ 説明は日本貸金業協会の書籍から抜粋参考しております。

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た行

対抗要件

権利の取得や移転などを当事者以外の第三者に対して法律上主張するために必要とされる要件。動産の場合には引渡し、あるいは動産譲渡登記、不動産の場合には登記、債権の場合には、債務者に対する対抗要件は、債務者への通知又は債務者の承諾、第三者に対する対抗要件は、確定日付ある証書による通知又は承諾、あるいは債権譲渡登記である。

対話者

意思表示をする者と意思表示を受け取る者が同じ場所にいる場合。ただし、場所が離れていても電話で話している者は、隔地者ではなく対話者である。契約の成立に必要な申込みの意思表示と承諾の意思表示について民法 525 条に規定されている。

直ちに

すぐに。「遅滞なく」に比べても時間的即時性が強く、正当な又は合理的な理由があっても遅れることが許されないものと一般に考えられている。

単純承認

相続人として被相続人の権利義務を承継することを何らの留保もなく認めること。相続放棄もしくは限定承認をその認められる期間内に行わないことにより当然認められ、また、相続財産の一部の処分など一定の行為を行った場合にも当然に認められる(民法 921 条)。

代位弁済

債務者以外の者が債務者のために弁済した場合に、弁済者が債務者に対して取得する求償権等を確保するために、債権者の債務者に対する債権(第三者による弁済で消滅するはずであった債権)及び当該債権に対する担保が弁済者に移転すること。民法上は「弁済による代位」である。

代襲相続

推定相続人が、被相続人が死亡する前に既に死亡している場合などに、その者の子が、その者に代わって相続をすること(民法 887 条 2 項、889 条 2 項)。代襲相続は、死亡だけでなく、廃除(民法 892 条、893 条) 又は相続欠格(民法 891 条各号)によってその相続権を失った場合が含まれる。なお、代襲相続は、推定相続人の直系卑属であれば孫等にまで及ぶ。

代物弁済

弁済をすることができる者(弁済者)が、債権者との間で、債務者の負担した給付に代えて他の給付をすることにより債務を消滅させる旨の契約をした上で、その弁済者が当該他の給付をすること(民法 482 条)。これにより、本来の債務は消滅する。

代理権

他人(本人)の代理人として、本人に効果が帰属する法律行為を行う権限のこと。本人の委任により発生する任意代理と、未成年者など行為能力が制限される者の代理行為を行うものとして法律上定められる法定代理(例えば、未成年者についてはその親)がある。

諾成契約

契約当事者間の合意のみで成立する契約。これに対し、当事者間の合意に加えて目的物の引渡し等がその成立に必要な契約は要物契約と呼ばれ、書面によらない消費貸借契約が要物契約に該当し、それ以外の契約は諾成契約である。

遅滞なく

すぐに。「直ちに」に比べると時間的即時性が弱く、正当な又は合理的な理由があれば遅れることが許されるものと一般的に考えられている。

地方裁判所

訴訟の第一審を扱うほか、簡易裁判所の民事に関する判決に対する控訴審等を扱う裁判所。地方裁判所は、各都道府県庁所在地、函館市、旭川市、釧路市に本庁が設置されている。

仲裁

当事者間の仲裁合意に基づき、仲裁人の行った判断(仲裁判断)に確定判決と同一の効力を与える制度(仲裁法 45 条1項)。当事者は仲裁判断に拘束され、不服申立てを行うことは認められない。仲裁の特徴は、一般的に迅速かつ安価であること、仲裁人に専門家を選定することにより適正な紛争の解決が見込めること、また、原則として非公開であることなどである。仲裁は、紛争解決基準が示され、原則として、これに対する不服申立てが許されない制度であるから、簡易迅速な解決には適しているが、仲裁には十分な証拠調べや不服申立ての制度がないため、仲裁人に適切な人を得られず、不満の残る仲裁判断が示されたときに、紛争はさらに紛糾することもある。

懲役

犯罪を犯した者に科される刑罰の 1 つであり、刑事施設に拘置して所定の作業を行わせるもの(刑法 12 条 2 項)。懲役には、無期及び 1 か月以上 20 年以下の有期がある(刑法 12 条 1 項)。

調停

裁判所の選任する調停委員のもとで当事者間の話合いにより合意を目指す紛争解決手段。話合いを基調とする手続であるため、当事者の希望に即した柔軟な解決が可能であるが、当事者の一方が話合いに応じなければ調停を成立させることはできない。なお、合意が成立した場合に作成される調停調書は債務名義となる。

直系尊属

ある者を中心に世代が上下に直線的に連なる血縁者である直系血族のうち、その者よりも上の世代。例えば、父母や祖父母が直系尊属に当たる。直系尊属は、子に次ぐ第二順位の法定相続人である(民法889 条1項1号)。

直系卑属

ある者を中心に世代が上下に直線的に連なる血縁者である直系血族のうち、その者よりも下の世代。例えば、子や孫が直系卑属に当たる。直系卑属は、第一順位の法定相続人である(民法 887 条 1 項)。

定型取引

ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なもの(民法 548 条の 2 第 1 項)。民法(債権法)改正により新たに規定が新設された定型約款は、この定型取引を前提としている。「特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引」であるから、取引の相手方の個性に着目する取引、例えば労働契約は定型取引には該当しないと考えられる。また、「取引の内容の全部又は一部が画一的であることが当事者双方にとって合理的」であることから、単に取引内容が画一的であるだけでは足りない。当事者双方にとって合理的であることが必要であるから、多数の相手方に対して同一の内容で契約を締結することが通常であるのに加え、相手方が交渉を行わず, 一方当事者が準備した契約条項の総体をそのまま受け入れて契約の締結に至ることが取引通念に照らして客観的に合理的であると認められることが必要である。

定型約款

定型取引において、契約の内容とすることを目的として、その特定の者により準備された条項の総体(民法 548 条の 2 第 1 項)。民法(債権法) 改正により新設された。民法の規定する定型約款に該当するか否かは、その条項の総体が、①特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であること、②取引の内容の全部又は一部が画一的であることが当事者双方にとって合理的であること、③その条項の総体を契約の内容とすることを目的として準備されたものであること、④取引の当事者の一方により準備されたものであることの各要件を備える必要がある。消費者向けのカードローン条項、個人を保証人とする保証委託条項、電気やガスの供給約款、預金約款、コンピューター・ソフトウェアの利用規約等は、その要件を満たせば、定型約款に該当し得る。

定型約款準備者

定型約款を準備した者(民法 548 条の 2 第 1 項 2 号)。定型取引を行い、又は行おうとする定型約款準備者は、定型取引の前又は定型取引合意の後相当の期間内に相手方から請求があった場合には、遅滞なく、相当な方法でその定型約款の内容を示さなければならない(民法 548 条の 3 第1 項本文)。相手方に定型約款の内容を確認する機会を与える必要があるからである。

呈示

約束手形の所持人が手形金の支払を受けるため、支払呈示期間内に、振出人に対し、手形金の支払と引き替えに、手形を引き渡すこと。支払呈示期間は、一覧払いの手形の場合には、原則として、振出日から 1 年間で、呈示があった時が満期である(手形法 34 条 1 項・77 条 1 項)。一覧払い以外の手形では、満期か、それに続く 2 取引日内に振出人に対して手形を呈示しなければならない(手形法 38 条 1 項・77 条 1 項)。呈示は、具体的には、所持人が満期の前日までに取立委任の裏書をして(手形法18 条・77 条 1 項)、自己の取引銀行に手形を持ち込み取立てを依頼する。依頼された銀行は、満期に手形交換所を通じて支払銀行に手形を呈示し、呈示を受けた支払銀行は、振出人の当座預金から手形金を引き落とし、決済する。

抵当権

債務者又は第三者(物上保証人)が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産等について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有するもののこと(民法 369 条 1 項)。一般的には、抵当権に基づき目的不動産を競売することによって、回収をはかることができる。抵当権を第三者に対抗するためには、抵当権設定登記を行う必要がある。

手形の裏書

手形を譲渡するため、手形裏面に自分の住所・氏名と譲受人の氏名を記載すること。手形の譲渡は、手形上の権利を他の者に移転することであるが、手形は証券に権利が結合した有価証券であることから、手形自体を相手方に交付することで譲渡できるが、手形の裏面に譲渡する者の住所・氏名と譲り受ける者の氏名を記載することとにより、手形上の権利移転を手形の証券上に明示することとされている。

手形の割引

手形の所持人である受取人又は被裏書人が、その手形を銀行等の融資者に裏書譲渡して手形金額から満期日までの割引料を差し引いた額を受け取ること。手形割引では、一般に、割引手形の不渡りや手形を融資者に持ち込んで割引を依頼した者(割引依頼人)の信用不安等が発生した場合には、割引依頼人に対して割り引いた手形の買戻請求ができる旨の特約がなされる。

適格消費者団体

平成 19 年 6 月に改正消費者契約法が施行され、「消費者団体訴訟制度」が開始されたことに伴い、消費者全体の利益を擁護するため、一定の要件を満たす消費者団体を内閣総理大臣が「適格消費者団体」として認定して、その団体に事業者の不当な行為(不当な勧誘、不当な契約条項の使用)に対する差止請求権を認めている。

転送不要郵便

郵便において、宛先となっている住所に宛名の本人が居住していない場合に、転居届で指定されている住所に転送せずに差出人に返還するもの。住所の確認が必要な郵便物に使用することができる。例えば、確認書類に記載されている顧客の住所宛に転送不要郵便物等として取引に係る文書を送付することは、犯罪収益移転防止法上の本人特定事項の確認方法となる。

てん補賠償

債務不履行を理由とする損害賠償において、債務が履行されていたとすれば得られていたであろう利益を賠償すること。民法(債権法)改正後の民法では「債務の履行に代わる損害賠償」とされている(民法 415 条1 項)。てん補賠償は、①債務の履行が不能であるとき、②債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき、③債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したときに、債権者が債務者に対して請求することができる。

電子記録債権

その発生又は譲渡について電子記録債権法の規定による電子記録を要件とする金銭債権。電子債権の記録等の業務を行う電子債権記録機関については、主務大臣により、財政的基盤や業務遂行能力を勘案して申請のあった事業者が指定され、その監督が行われている。電子記録債権は、電子債権記録機関が管理する記録原簿の記録により権利の内容が確定されるほか、善意取得や人的抗弁切断の制度が認められ、支払いについても記録原簿上の債権者への支払いにつき支払免責の制度が設けられている。電子記録を利用した決済サービスには「でんさい」などがある。

電子商取引

インターネットやコンピュータネットワークを利用した商取引。このような情報技術(IT)を利用した取引については、スマートフォン等の急速な普及等を背景として、従来にない新しいサービスや取引形態が出現するとともにこれらを規制する法令も新たに制定されたり既存法令が改正されたりしている。不正アクセス禁止法や特定電子メール法等の電子商取引に関する法令の改正動向等に注意するとともに、経済産業省の「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」も参考にすることが求められる。

電子マネー

法定通貨の代わりに電子的方法等を利用したシステムにより支払を行う決済システム又はその電子データ。電子マネーは、セキュリティリスクが存することから、その発行体には、第三者による不正行為等を充分に防止できる安全な決済システムを構築し運用する技術的・ 事務的な能力が求められている。

謄本

原本の全部を写して作成された書類。例えば、戸籍簿の記載の全部の写しである戸籍謄本や登記簿について登記簿謄本などのように使われる。

特定公正証書

債務者等が貸付けの契約に基づく債務の不履行の場合に直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載された公正証書(貸金業法 20 条 1 項)。

特定適格消費者団体

消費者契約法に規定する適格消費者団体のうち、消費者裁判手続特例法の定める認定要件を充たすものとして内閣総理大臣が指定するもののこと。適格消費者団体が、不特定多数の消費者の利益を保護するために、消費者契約法違反事業者に対して差止請求訴訟を提起できるのに対し、特定適格消費者団体は、消費者契約に関して事業者が消費者に対して負う一定の金銭支払義務について訴訟を提起しその財産的損害を回復させることができる。

特定取引

特定事業者(犯罪収益移転防止法 2 条 2 項に定めるもの)が、顧客等との間で行う、各特定事業者ごとに定められた特定業務のうち、一定の取引を行う場合の当該取引のこと。特定取引を行う場合には、犯罪収益移転防止法 4 条に基づき、取引時確認を行わなければならない。

特別永住者証明書

特別永住者の法的地位等を証明するものとして交付されるもの。特別永住者証明書には、氏名、生年月日、性別、国籍・ 地域・住居地、有効期間の満了日等が記載される。なお、16歳以上の者には顔写真が表示される。

特別受益者

被相続人から、遺贈を受けたり、婚姻・養子縁組のためや生計の資本として贈与を受けたりした者(民法 903 条 1 項)。共同相続人の中に特別受益者がいる場合には、相続開始時の財産にその贈与の額を加えたものが相続財産とみなされる。相続分の計算においては、特別受益者が得ていた受益額が控除されることとなる。

特別清算

株式会社において、解散して清算手続中に債務超過の疑いがある場合などに、裁判所の監督の下に、債権者の同意を得て行われる清算手続(会社法 510 条以下)。特別清算は、債権者への弁済計画である協定案に対し、総債権額の 3 分の 2 以上の同意が得られないと手続を実施できない(会社法 567 条 1 項 2 号)ため、債権者が比較的少数でかつ協力的な場合や、親会社が不採算の子会社を消滅させる場合等に利用されている。

特別調停案

指定紛争解決機関において選任された紛争解決委員が、申立てに係る紛争の解決に必要な和解案を作成し、紛争当事者に提示して、受諾を勧告しても、和解が成立する見込みがない場合において、事案の性質、当事者の意向等その他の事情に照らして相当であると認めるときに、貸金業務関連紛争の解決のために必要な和解案として作成するもの。理由を付して当事者に提示する。

匿名組合

出資者(匿名組合員)が、営業による利潤の配分にあずかることを目的として営業者のために出資をし、その営業の結果として生じる利益を分配することを約する匿名組合契約(商法 535 条参照)を締結し、この匿名組合契約に基づいて生じる人(出資者と営業者)の結合関係。「匿名」組合と呼ばれるのは、匿名組合員が権利義務関係の名宛人とならず、一般には取引相手に対して名前が顕れないためである。

特約上限利率

主たる債務について支払うべき利息が利息の契約後変動し得る利率(変動利率)で定められている場合に、保証契約の時に債権者と保証人の合意によって定めることができる、債権者が主たる債務者から支払を受けることができる利息の利率の上限(利息制限法 8 条 2 項 1 号)。保証料の契約が、法定上限額から特約上限利率によって計算した利息の金額を差し引いて計算した額を超える場合、その超過部分について無効となる。

トランザクションレンディング

財務情報等ではなく、日々の取引履歴を与信判断の基準とする融資。取引履歴を意味するトランザクションと融資を意味するレンディングを組み合わせた造語である。フィンテックを利用した与信審査により迅速・簡易な融資を可能とするものとして注目を集めている。従来の与信審査で重視されていた事業やその企業の財務情報等に基づく返済能力ではなく、企業における在庫の変動や商品の出荷状況や各店舗における日々の売上等に基づいて与信を行うものであり、IT 技術や人工知能(AI)の進展により迅速かつ大量のデータ処理が可能となったことから、短期間で審査を行い、少額の融資をオンラインで行うこと等がなされている。

取消権

法律行為の取消しをすることができる権利。取消権を有する者は、取消しの原因によって異なり、①制限行為能力者の行為については、制限行為能力者本人又はその代理人、承継人もしくは同意をすることができる者であり、②錯誤、詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人もしくは承継人である(民法120 条)。取り消された行為は、遡及的に無効となる(民法 121 条)。

同意権

制限行為能力者が法律行為をする場合等にその保護者に認められている当該法律行為に同意をする権利。未成年者の法定代理人(親権者又は未成年後見人)、保佐人及び補助人に認められているが、成年後見人の同意を得て行われた成年被後見人の法律行為は取り消すことができる(民法9 条)。保佐人の同意を要する行為は、元本の領収・利用、借財又は保証、不動産の所有権等の得喪等の一定の行為に限られる(民法 13 条)。また、補助人の同意権は、保佐人の同意を要する行為のうち家庭裁判所の審判により決められた一定の行為である(民法 17 条)。

同時破産廃止

破産手続開始決定と同時に破産手続を廃止し、 終了させること。破産財団が破産手続の費用さえ償えないことがあらかじめ判明したときは、 手続費用の予納があったときを除き、裁判所は破産手続開始決定と同時に破産手続廃止の決定をしなければならない(破産法 216 条)。同時破産廃止の決定をしたときは、直ちに、破産手続開始の決定の主文等が公告され、かつ破産者に通知される。

同時履行の抗弁権

双務契約における当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは自己の債務の履行を拒むことができ、この契約当事者の権利のことを同時履行の抗弁権という(民法 533 条)。契約当事者の公平を保つための権利であるが、相手方の債務が弁済期にない場合には、この権利を行使することはできない。