不動産担保ローン用語集です、実際のお取引やお考えの際に活用ください。※ 説明は日本貸金業協会の書籍から抜粋参考しております。

不動産担保ローン用語集 50音順から検索

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さ行

サービサー

特定金銭債権の管理や回収を業として行う会社のこと。日本においては、債権回収は法律事務に該当し、本来は弁護士しか行うことができないが、債権管理回収業に関する特別措置法により、同法の許可を得た会社も債権の回収を業として行うことが認められた。サービサーは、同法の規制に従ってのみ業務を行うことができる。

債権証書

債権の成立を証明する文書のこと。契約書などが含まれる。民法上、全部の弁済をした者は債権証書の返還を請求することができることとされている(民法 487 条)。

債権譲渡

債権者としての権利を第三者に譲り渡すこと。債権譲渡を行った場合には、従前の債権者はその権利を失い、譲渡を受けた者が債権者としての権利を承継することとなる。債権譲渡を債務者、又は第三者に対して対抗できるようにするためには、それぞれ対抗要件を具備しなければならない(民法 467 条、債権譲渡特例法)。

債権譲渡登記

法人が行う金銭債権の譲渡について、当該法人が債務者以外の第三者に対する対抗要件を備えるための制度。債務者が特定されていない将来債権の譲渡についても、債権譲渡登記が可能である。債権譲渡登記ファイルに記録することにより、当該債権の債務者以外の第三者について、確定日付のある証書による通知(民法 467 条)があったものとみなされ、第三者対抗要件が具備される(債権譲渡特例法 4 条 1 項)。そして、債権譲渡登記がされた場合において、譲渡人もしくは譲受人が当該債権の債務者に登記事項証明書を交付して通知をし、または債務者が承諾をしたときは、債務者についても確定日付のある証書による通知があったものとみなされ、対抗要件が具備される(債権譲渡特例法 4 条 2 項)。

最高裁判所

憲法によって設置された日本における唯一かつ最高の裁判所で、長官及び 14 人の最高裁判所判事によって構成されている。最高裁判所長官は、内閣の指名に基づいて天皇によって任命され、14 人の最高裁判所判事は、内閣によって任命され、天皇の認証を受ける認証官である。最高裁判所における裁判は、全員で構成する大法廷(定足数 9)と 5 人ずつで構成する三つの小法廷(定足数 3)とにおいて行われている。最高裁判所は、上告及び訴訟法において特に定められた抗告について裁判権を持つほか、人事官の弾劾に関する裁判について、第一審かつ終審としての裁判権を有する。

催告書面

貸付けの契約に基づく債権の支払を催告するための書面のこと。書面に代えて電磁的記録を送付することもできる。

催告の抗弁権

保証人が債権者から支払いを求められたときに、まず、主たる債務者に対して催告すべきことを請求することができるという保証人の権利(民法 452 条)。連帯保証人の場合には、この催告の抗弁権は認められない(民法 454 条)。

再生計画

再生債権者の権利の全部又は一部を変更する条項その他の民事再生法154 条に規定する条項を定めた計画。再生計画においては、①全部又は一部の再生債権者の権利の変更、②共益債権及び一般優先債権の弁済、③知れている開始後債権があるときは、その内容に関する条項が定めら

サイバー攻撃

インターネット等を通じてコンピュータシステムに対して行われる攻撃。サイバー攻撃のうち、重要インフラの基幹システムを機能不全に陥れ、社会の機能をマヒさせてしまうものをサイバーテロといい、情報通信技術を用いた諜報活動をサイバーインテリジェンス(サイバーエスピオナージ)という。サイバー攻撃には、攻撃者の特定が難しい、攻撃の被害が潜在化するという傾向がある、国境を越えて実行が可能であるという特徴があり、その対処能力の強化が求められている。

サイバーセキュリティ

例えば、メモリ、磁気ディスク(フロッピーディスク)、光学ディスク(CD-ROM)等の電子的方式又は磁気的方式等により記録される情報、 又はインターネット等を通じて発信・伝送・受信される情報の漏えい、滅失又は毀損の防止といった安全管理のために必要な措置並びに情報システム及び情報通信ネットワークの安全性及び信頼性の確保のために必要な措置が講じられ、その状態が適切に維持管理されていること。これには、インターネットを通じた不正な活動による被害の防止に必要な措置やUSB メモリ等を通じたコンピュータへの不正な活動による被害の防止に必要な措置が含まれる。

裁判外紛争解決制度

訴訟手続によらずに民事上の紛争の解決をしようとする紛争の当事者のため、公正な第三者が関与して、その解決を図る手続(ADR 基本法 1 条)。

債務超過

債務者が、その債務につき、その財産をもって完済することができない状態。法人特有の破産原因である(破産法 16 条 1 項)。

債務不履行

債務の本旨に従った履行をしないこと(民法 415 条)。債務の本旨の具体的内容は、契約の趣旨、取引慣行、法律の規定等を基準に判断される。債務不履行は、一般に、履行遅滞、履行不能及び不完全履行の 3 つの態様に分けて説明される。債権者は、債務不履行を理由として債務者に対して生じた損害の賠償を請求することができる(民法415 条1 項本文)が、債務不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは損害賠償請求できない(同項但書)。

債務名義

強制執行を根拠付け正当化する文書のことで、確定判決、仮執行宣言付判決など民事執行法 22 条各号に掲げるもののことをいう。債務名義があれば、債権者などはこれを基に強制執行を申し立てることができる。

詐欺による意思表示

他人に騙されて意思表示をすること。詐欺による意思表示をした者は、その意思表示を取り消すことができるが、その取消しは、善意無過失の第三者には対抗することができない(民法 96 条 1 項、3 項)。強迫による意思表示の場合と異なり、表意者の落ち度も認められることから、その取消しは、善意無過失の第三者には対抗することができない。

錯誤

表意者が勘違いにより、自らの真意とは異なる内容の意思表示をした場合のこと。錯誤による意思表示は、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取消しを主張することができるが、この取消しは善意無過失の第三者に対抗することができず、また、錯誤による意思表示をしたことにつき表意者に重過失がある場合には原則として取消しをすることができない(民法 95 条)。

差押え

債権者の権利の実現のため、債務者等の特定の権利や財産について、その事実上・法律上の処分を禁止し、確保すること。債権者が債務名義に基づき、その対象財産の種類などに応じて裁判所もしくは執行官に申立てをして行う。

詐術

制限行為能力者が自身を行為能力者であると相手方に信じさせるために行う術策(民法 21 条)。制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。詐術を用いた制限行為能力者よりも取引の相手方を保護する趣旨である。

財産開示手続

強制執行手続において、債務者の財産を把握するために、債務者に自らの財産について陳述させる制度(民事執行法 196 条)。財産開示手続の申立ては、執行力のある債務名義の正本(仮執行宣言付判決・支払督促、執行証書等を除く)を有する金銭債権の債権者、及び債務者の財産について一般の先取特権を有する債権者である。財産開示手続の申立てにあたっては、強制執行又は担保権の実行における配当等の手続において完全な弁済を得ることができなかったことを証明するか、又は知れている財産に対する強制執行を実施しても完全な弁済を得られないことを疎明する必要がある。

在留カード

日本に中長期間在留する者(中長期在留者)に対し交付されるもの。在留カードは、それを保有する者が、日本に中長期間滞在できる在留資格及び在留期間をもって適法に在留する者であることを証明するものである。在留カードには、氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地、在留資格、在留期間、就労の可否等が記載される。なお、16 歳以上の者には顔写真が表示される。

資金移動業

銀行等の預金取扱金融機関以外の者が為替取引を業として営むこと。ただし、少額の取引として政令で定めるものに限られている。現在は、1 回あたりの金額が100 万円に相当する額以下の取引に限定されているが、資金決済法の改正により、一定の条件の下で 100 万円を超える取引も可能となる予定である。

執行証書

債務者が直ちに強制執行を受けても異議がない旨を認諾する文言が記載された公正証書。債務者が公正証書の文言の中で、直ちに強制執行を受けても異議がない旨を認諾していれば(強制執行認諾文言)、債務者に債務不履行があった場合、この公正証書に基づいて債権者は強制執行をすることができる。執行証書によって強制執行することができるのは、金銭の一定額の支払い、または代替性のある物の引渡しに限られる。

執行認諾文言付公正証書

債務者が直ちに強制執行を受けても異議がない旨を認諾する文言が記載された公正証書。執行証書とも呼ばれる。

指定信用情報機関

指定信用情報機関制度は、貸金業法に規定された制度であり、平成 22 年6月 18 日(完全施行時)から、貸金業者が保有する全ての貸付けの残高のある個人信用情報の登録と指定信用情報機関の信用情報を利用した返済能力調査が義務付けられている。同 22 年3月 11 日には、(株) 日本信用情報機構(JICC)と(株)シー・アイ・シーが内閣総理大臣か ら指定信用情報機関としての指定を受けた。個人向け貸付け及び法人向け貸付けの代表者保証や第三者保証を行う貸金業者は、指定信用情報機関への加入が義務付けられている。

指定紛争解決機関

貸金業法 41 条の 39 の規定により内閣総理大臣より指定を受けた指定紛争解決機関のこと(貸金業法2条 18 項)。この指定を受けた日本貸金業協会が指定紛争解決機関として貸金業法3章の3の規定に従い紛争解決等業務を行う。

支払調書

法定調書の 1 つであり、業務に対する報酬等を支払った場合にその業務を委託した者等が作成し税務署に提出すべき文書。「報酬、料金、契約金及び償金の支払調書」「不動産の使用料等の支払調書」「不動産の譲受けの対価の支払調書」などがある。

支払停止

例えば、夜逃げや手形の不渡りといった支払不能であることを表示する債務者の行為。支払停止は、それ自体が破産原因ではないが、この事実があれば支払不能であることが推定される(破産法 15 条 2 項)。

支払督促

金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求につき、債権者の申立てに基づいて裁判所書記官が債務者に対して発する督促のこと(民事訴訟法 382 条)。債権者の申立てのみに基づき発せられるので、債務者の異議がなければ簡易迅速に債務名義を取得することができるが、債務者の異議(理由を付することは不要)により直ちに通常訴訟に移行する。

支払不能

債務者が支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態(破産法2 条11 項)。支払不能は、法人・自然人に共通した破産原因である(破産法 15 条 1 項・16 条 1 項)。

収支内訳書

事業所得・不動産所得・山林所得を生ずべき業務を行っている白色申告者が、確定申告について作成し税務署に提出しなければならない書面。

収納代行

収納代行業者が、債権者から、代理受領の委託を受け、債務者から商品等の代金を受領し、債権者に引き渡す仕組み。コンビニエンスストアや運送業者による代金引換などが収納代行に当たるが、新たな形態として、いわゆる「割り勘アプリ」というサービスが登場している。これは、例えば、オンライン上で、宴会幹事に代わって事業者が宴会参加者から参加費の回収を行うものであり、収納代行の形式をとりながら個人間送金サービスを提供するものと見ることができる。

少額訴訟

60 万円以下の金銭の支払に関する法的紛争について、紛争額に見合った時間と費用と労力で解決を図ることができるように、手続をできる限り簡易迅速にしたもの。民事訴訟法 368 条以下に少額訴訟に関する規定がある。少額訴訟では、原則として 1 回の口頭弁論期日で完了し、口頭弁論終結後、直ちに判決を言い渡される(民事訴訟法 370  条・374  条)。また、証拠書類や証人は審理の日にその場で調べられるものに限られ(民事訴訟法 371 条)、裁判所は、原告の請求を認める場合でも、分割払い、支払猶予、遅延損害金免除の判決を言い渡すことができる(民事訴訟法375 条)。なお、同一の簡易裁判所において一定回数(年間 10 回)を超えて同一人が利用できない(民事訴訟法 368 条 1 項但書、民事訴訟規則223 条)。

少額投資非課税制度(NISA)

株式等の売却益及び配当に対する税率を年間 120 万円まで非課税とする制度。NISA 口座を開設できるのは 1 人 1 口座に限定されており、各年の非課税投資枠の未使用部分を翌年以降に繰り越すことはできない。また、NISA 口座で保有している金融商品の売却により被った損失を、他の一般口座や特定口座で保有している金融商品の売却益等との間で損益通算することはできない。

小規模個人再生手続

個人である債務者のうち、将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、かつ、再生債権の総額(住宅ローンや別除権の行使によって弁済されると見込まれる額等は除かれる)が 5000 万円を超えないものについて行われる再生手続(民事再生法 221 条)。

商業手形

現実の商取引における代金決済のために振り出される手形、または原因関係に、商取引という法律関係があること。商業手形の受取人は、満期に振出人に支払いのために呈示して手形金を受領するか、手形の割引によって満期日前に現金化する。商業手形に対し、資金の融通のために振りされる手形は融通手形と呼ばれる。

商業登記簿

商人に関する事項を公示するために登記所に備えられるもの。商業登記簿には、未成年登記簿、支配人登記簿、株式会社登記簿、外国会社登記簿等がある。法務局においてそれぞれの登記事項証明書を取得することができる。取得できるものとして、全ての登記区分が記載された全部事項証明書や全部事項証明書から必要な部分を抽出した一部事項証明書等がある。また、いずれについても、現在の登記の内容が記載された現在事項証明書、過去 3 年分に変更された情報に関する履歴事項証明書、3 年以上前の情報で既に閉鎖された情報に関する閉鎖事項証明書を取得することができる。

商号

商号は、商人が営業上の活動において自己を表わすために用いる名称。商人は、原則として商号を自由に選定することができる(商法 11 条参照) が、一個の営業について使用できる商号は原則として一個に限られる(商号単一の原則)。また、不正の目的で、他の商人・会社であると誤認されるおそれのある名称または商号を使用することは禁止されている。これに違反する名称・商号の使用により、営業上の利益を侵害され、または侵害されるおそれがある商人または会社は、その者に対して侵害の停止または予防を請求することができる。

承諾の意思表示

申込みの意思表示と合致して契約を成立させる意思表示(民法 522 条 1 項)。承諾期間を定めてした申込みは、申込者が撤回の権利を留保をしたときを除き、撤回することができない(523 条 1 項)。また、承諾の期間を定めないでした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは撤回することができない(525 条 1 項)。

消費者契約

消費者と事業者との間で締結される契約のこと(消費者契約法 2 条 3 項。但し労働契約は除かれる。)。消費者とは個人をいい(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人(個人事業主)を除く。)、事業者とは法人その他の団体及び個人事業主をいう。

消費貸借契約

当事者の一方が、種類、品質及び数量の同じ物をもって返還することを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって効力を生ずる契約のこと(民法 587 条)。契約が成立するには目的物の交付(受領) が必要とされているが(要物契約)、書面でする場合には諾成契約となる。

抄本

原本の一部を写して作成された書類。例えば、戸籍簿の記載の一部の写しである戸籍抄本のように使われる。

消滅時効

一定期間権利不行使の状態が続くことにより、権利の消滅が認められるもの。消滅時効が問題となる典型的なものとしては債権があり、債権の消滅時効期間は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年又は権利を行使することができる時から 10 年である(民法166 条1項)。

消滅時効の起算点

時効期間を計算する起点となる時。民法上、消滅時効の起算点については、いわゆる主観的起算点として「債権者が権利を行使することができることを知った時」を、客観的起算点として「権利を行使することができる時」を規定している(民法 166 条 1 項)。起算点ごとに消滅時効の期間が異なっており、主観的起算点については 5 年、客観的起算点については 10 年で消滅時効が完成する。

所得証明書

前年の 1 月 1 日から 12 月 31 日までの間の所得を記載した書面。所得証明書は市区町村により発行される。

初日不算入の原則

期間の計算において、日、週、月又は年によって期間を定めた場合において、その期間が午前零時から始まらないときは、その初日を期間に算入しないこと(民法 140 条)。例えば、5 月 1 日において、貸付期間を20 日として金銭を貸し付けた場合、初日である 5 月 1 日は期間に算入せず、5 月 2 日から 20 日間を計算する。その結果、返済期限は 5 月 21 日となる。

親権者

未成年の子に対して親権を行う者。父母の婚姻中は父母が共同してその子に親権を行う(民法 818 条 3 項)。親権者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負い(民法 820 条)、これらに必要な範囲でその子を懲戒することができる(民法 822 条)。

親権停止の審判

父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることによって子の利益を害する場合に、家庭裁判所によってその親権を一時的に停止させる制度。父母の一方のみが親権停止の審判を受けた場合には他方の親が親権者として子の監護教育することとなり、その両方の親権が停止された場合には、家庭裁判所が選任する未成年後見人が、当該未成年者の監護教育等を行うこととなる。

親族

6 親等内の血族、配偶者及び 3 親等内の姻族のこと(民法 725 条)。親族は、不適法な婚姻(744 条)や縁組み(805 条、806 条及び 807 条) の取消しを請求することができる。また、親権者の変更について子の親族に家庭裁判所への変更請求権が(819 条)、親権喪失・停止の審判の請 求権(834 条、835 条)が認められている。

信頼利益

債権者が契約に関して、有効でない契約を有効であると信頼することによって生じた利益。信頼利益に対して履行利益があり、履行利益とは、契約が有効であり債務が履行されたとすれば得られたであろう利益をいう。いわゆる契約締結上の過失が問題となる場合における損害賠償の範囲は、この信頼利益に限られる。

時効の援用

時効によって利益を受ける者が時効による利益を受ける意思を表示すること。債務者、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者が援用しなければ、たとえ訴訟に現れた事実から時効が完成したと認められる場合であっても、時効を根拠として裁判をすることができない(民法 145 条)。

時効の完成猶予

一定の事由が生じた場合に、一定の期間時効の進行が停止し、その完成が猶予されること(民法 147 条等)。時効の完成猶予事由には、裁判上の請求(147 条 1 項 1 号)、強制執行等(148 条 1 項 1 号)等のように時効の更新事由を兼ねるものと、仮差押え(149 条 1 号)や天災地変(161 条)等のように更新事由を兼ねないものがある。

時効の更新

それまでに進行した時効期間を考慮せずに、新たに時効期間が開始すること。一般的な時効の更新事由としては、確定判決等による権利の確定、強制執行等の終了(取下げ又は法律違反による取消しによる場合を除く)、承認等がある(民法 147 条、148 条、152 条)。

自己破産

自らが申し立てて裁判所の破産手続開始決定を受けること。破産手続開始の申立ては、債務者自身だけでなく、債権者も行うことができるが、債務者自身が申し立てる場合のことを一般に自己破産という。

実質的支配者

実質的支配者とは、法人の事業経営を実質的に支配することが可能となる関係にある者をいい、法人の性質に従って定められている。資本多数決の原則を採る法人(株式会社など)の場合は当該法人の議決権の総数の 4 分の 1 を超える議決権を有している者をいい、資本多数決の原則を採る法人以外の法人(財団法人など)の場合は当該法人を代表する権限を有している者をいう。犯罪収益移転防止法では、実質的支配者の確認方法が定められている。

実質支配力基準

親会社及び子会社の関係を決定する基準として、議決権の過半数を有しているか否か(形式的基準)に加えて、財務及び事業の方針の決定を支配しているか否かを考慮するもの。会社法上の親子会社関係を決するとともに(会社法 2 条 3 項 4 号)、企業会計における連結子会社の範囲を画する基準となる。

実質年率

金銭の借入れにおいて、元本に対する利息のほかに必要となる手数料、保証料その他の費用一切を合計した額に基づいて計算した元本に対する利率。

重大な過失

甚だしい不注意。通常の過失(重大な過失に対して軽過失と呼ばれることもある)よりも注意義務に違反する程度が甚だしい場合をいう。民法では、錯誤において表意者が取り消すことができないこととなる「重大な過失による錯誤」(民法 95 条 3 項)、譲渡制限のある債権が譲渡された場合に関する場合(民法 466 条 3 項、466 条の 3 〜 466 条の 5)、相殺禁止特約に関する場合(民法 505 条 2 項)等が規定されている。

住民票

市町村及び特別区において、その住民につき、住民基本台帳法に基づき作成される住民基本台帳を構成する記録(住民基本台帳法 5 条、6 条)。住民票は、個人を単位として世帯ごとに編成され、氏名、生年月日、男女の別、世帯主に関する表示、本籍に関する表示、住民となった年月日などが記載される。

準委任契約

法律行為ではない事務の委託をする契約(民法 656 条)。準委任契約については、民法の委任に関する規定(643 条〜 655 条)が準用される。実務上、業務の委託をする契約は、準委任契約としての性質を有することがある。

準拠法

国際取引に関して民事に関する法的紛争が発生した場合に適用される法律。準拠法の決定基準は、「法の適用に関する通則法」(法適用通則法) に定められている。準拠法選択の決定は、原則として、当事者の意思に委ねられている(当事者自治の原則、法適用通則法 7 条)。当事者が準拠法をあらかじめ定めていなかった場合、契約等の法律行為の成立および効力は、当該法律行為の当時において当該法律行為に最も密接な関係がある地の法による(法適用通則法 8 条 1 項)。

譲渡禁止特約

債権の譲渡を禁止する旨の約定。債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示は、民法上、「譲渡制限の意思表示」と呼ばれる。譲渡禁止特約があるにもかかわらず債権が譲渡された場合であっても、その債権譲渡は有効である(民法 466 条 2 項)。ただし、故意又は重過失ある譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができるとともに、譲渡人に対して主張し得た債務消滅事由をもって対抗することができる(同条 3 項)。

情報技術(IT)

情報に関して用いられる技術。Information Technology を略してIT と呼ばれることがある。インターネット等を利用した通信を含めて情報通信技術(Information  and   Communication   Technology:ICT)と呼ば れることもある。情報技術を活用した取引として電子商取引(E コマース) が活発に行われており、特にスマートフォンの普及によって情報技術の活用による新しいビジネスが創出されている。

情報提供義務

保証人に対する情報の提供義務。民法(債権法)改正によって新設された。①主たる債務者が保証又は根保証の委託を受ける者に対して行う契約締結時の情報提供義務(民法 465  条の 10)、②債権者が保証の受託者に対して行う、主たる債務者の履行状況に関する情報の提供義務(民法 458 条の 2)及び③主たる債務者が期限の利益を喪失した場合における情報の提供義務(民法 458 条の 3)がある。

人工知能(AI)

人間の知能をコンピュータシステムによって実現するもの。artificial intelligence の略称としてAI とも呼ばれる。コンピュータの進化に伴って様々な人工知能(AI)の開発が進められていたが、ICT の爆発的な普及によりビッグデータを収集しやすくなり、またコンピュータの処理能力向上、ディープラーニング(深層学習)の登場等を契機として、急速に人工知能(AI)の開発や実用化の試みが進められている。人工知能(AI) の代表的な研究テーマとして、専門分野の知識をコンピュータシステムに取り込み推論させることでその分野の専門家のように振る舞うプログラムである「エキスパートシステム」、各種数値・テキスト・画像・音声等の大量のデータから一定のルールや知識を自ら学習する「機械学習」、ニューラルネットワークを用いた機械学習の一種である「ディープラーニング」などがある。

ステークホルダー

利害関係を有する者。企業の社会的責任(CSR)では、企業がそのステークホルダーとの関係で責任を負うべきであるとされ、この場合のステークホルダーには、企業への出資者(株主等)、債権者、その企業と取引関係にある消費者・取引先、その企業で働く従業員、企業の事業所所在地の地域社会等が挙げられる。

制限行為能力

法律行為を確定的に単独で行うことができる能力である行為能力が制限されていること。制限行為能力者は、未成年者、成年被後見人、被保佐人及び被補助人が定められており、これら判断能力が不十分な者を保護するとともに、制限行為能力者を法定しておくことで取引の安全が図られている。

生前贈与

ある財産を生前に無償で与えること。贈与契約は当事者間の合意により有効に成立する(民法 549 条)が、書面によらない贈与は、履行されない部分については各当事者が解除することができる(550 条)。

成年被後見人

精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者のうち、家庭裁判所から後見開始の審判を受けた者のこと(民法 7 条、8 条)。成年被後見人の行った行為は、日用品の購入その他日常生活に関する行為を除き取消すことができ、また、成年被後見人を当事者とする契約などは、成年後見人が代理人として行う。

善管注意義務

善良な管理者の注意義務の略称。善管注意義務は、注意義務の程度を表すものであり、行為者の属する職業その他の社会的地位にある者であれば通常払うことが期待される程度の注意義務。民法上、特定物の引渡しを目的とする債務につき目的物の保存に係る注意義務として一般的に善管注意義務が規定されている(民法 400 条)。個別には、委任契約における受任者に委任事務の処理に係る善管注意義務(民法 644 条)、商事寄託における受寄者の保管に係る善管注意義務(商法 595 条)等が規定されている。

相殺

2 人の者が互いに相手方に対し同種の債権を有している場合に、その債務を対当額において消滅させること(民法 505 条)。相殺は、一方当事者の意思表示によって行うことができる。また、双方の債務が弁済期にあること、相殺禁止に当たらないこと等が必要であるが、債務者は、期限の利益を放棄することができるので、自らの債権(自働債権)のみが弁済期にあれば相殺可能となる。

相殺適状

債権と債務とが相殺できる状態にあること。なお、相殺の意思表示は、相殺適状になった時に遡って効力を生じる(民法 506 条2項)。

相続人

被相続人の地位を包括的に承継する者。相続人の範囲は法律によって定められている。配偶者は常に相続人となる(民法 890 条)。そして、第一順位の相続人は子であり、子がいない場合には被相続人の直系尊属(父、母等)であり、それらがいずれもいない場合には兄弟姉妹である(889 条)。

相続の放棄

相続によって発生する効果が自らに帰属することを拒否する相続人の意思表示。相続放棄は、相続人が単独で行うことができるが、一定の期間内に家庭裁判所に対する申述によって行わなければならない(民法 938 条)。相続の放棄をした者は、初めから相続人とならなかったものとみなされる(民法 939 条)。

総量規制

個人の借入総額が、原則として、年収等の3分の1までに制限される仕組みのこと(ただし個人顧客の利益の保護に支障を生ずることのない契約として総量規制の例外となるものや除外となる契約もある)。なお、総量規制の対象となるのは、個人向け貸付けのみであって、法人向けの貸付けと保証、また個人向けであっても個人向け保証については総量規制の対象とはならない(貸金業法 13 条の2)。

ソーシャルレンディング

インターネットを用いてファンドの募集を行い、投資者からの出資をファンド業者を通じて企業等に貸付ける仕組み。ソーシャルレンディングの仲介は、金融商品取引法の規制対象であり、これを行おうとする事業者は、第二種金融商品取引業の登録を受ける必要がある。

訴訟上の和解

訴訟手続の中で、訴訟当事者間においてなされる和解のこと。和解が成立すると和解調書が作成され、この和解調書は債務名義と認められるため、和解調書に基づく強制執行が可能となる。なお、訴訟上の和解は、訴訟のどの段階においても成立させることができる。

即決和解

当事者が簡易裁判所に申立て、指定された期日に出頭して和解調書を作成する手続のこと(民事訴訟法 275 条)。和解内容は当事者間で定めた上で、裁判所では和解調書の作成のみを行う手続であり、合意内容に債務名義としての効力を持たせるために利用される。このように和解調書は債務名義となるため、一方当事者が約束を履行しないときは、本訴を提起せずに強制執行が可能である。なお、公正証書と異なり、和解調書に基づく強制執行は金銭債権や代替性のある物の引渡しの執行に限定されず、不動産の明渡しなどの強制執行も可能である。

損害賠償

一定の事由に基づいて損害を被った者に対して、損害をてん補して損害がなかった状態を回復すること。損害賠償義務は、民法上、債務不履行責任(民法 415 条)又は不法行為責任(709 条)により生じる。損害は、財産的損害と非財産的損害に分けられる。財産的損害には、治療費や修理費などの現実に出費された金銭等の積極的損害と、休業損害などの収入として見込まれたにもかかわらず得られなかった収入などの消極的損害(「得べかりし利益」)がある。また、非財産的損害には、長期間の苦痛や精神的苦痛(精神的損害)に対する慰謝料や、名誉・信用の毀損などの損害がある。

損害賠償額の予定

債務不履行等があった場合の損害賠償の額を予め定めておくこと(民法420 条)。契約によって違約金の定めがなされていた場合には、当該定めは損害賠償額の予定と推定される(同条 3 項)。民法(債権法)改正前は、損害賠償額の予定がなされた場合に「裁判所は、その額を増減することができない」旨が定められていたが、民法(債権法)改正によってこの規定部分は削除された。なお、改正前の民法下において、損害賠償額の予定のうち著しく過大であると認められる部分については、信義則や公序良俗に違反することを理由に、損害賠償額の予定のうち相当な額を超える部分について無効とする裁判例がある。

贈与

当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによってその効力を生じる契約(民法 549 条)。書面によらない贈与は、履行されない部分については各当事者が解除することができる(550 条)。贈与には、定期贈与(552 条)、負担付贈与(553 条)、死因贈与(554 条)が定められている。

属人主義

刑法の適用範囲に関し、犯罪が実行された地を問わず自国民によるものか否かによりその適用範囲を決定する考え。日本国民が犯した一定の犯罪(刑法 3 条)、日本国民に対してなされた一定の犯罪(刑法 3 条の 2) 及び日本の公務員が犯した一定の犯罪について属人主義がとられている(刑法 4 条)。

属地主義

刑法の適用範囲に関し、犯罪が実行された地を基準にその適用範囲を決定する考え。日本国内において罪を犯したすべての者に刑法が適用されるとして、刑法は属地主義を基本とする(刑法 1 条)。

※ 説明は日本貸金業協会の書籍から抜粋参考しております。